[3月10日:速報回]GPT-5.4/Gemini 3.1 Flash-Lite/ガバメントAI/DeNA南場智子(ep.50)
おちつきAIラジオ 第50回(EP.050)/配信日: 2026.03.10/再生時間: 01:23:22
この回の概要
第50回となる今回は速報回で、GPT-5.4、GPT-5.3インスタント、Gemini3.1フラッシュライトという主要モデルの新リリースと、デジタル庁の国産LLM選定、DeNA会長・南場智子氏のAI活用に関する記事という5つのトピックを扱っています。この回を聴くと、直近のAIモデルの進化の方向性と、企業や行政がAIをどう業務に組み込もうとしているかの具体像がわかります。
まず取り上げたのはOpenAIのGPT-5.4です。しぶちょーは、会話の質そのものよりも成果物としてのアウトプットの質を高めるチューニングがされていると説明し、表計算やプレゼン資料の作成、パソコン画面をマウスやクリックで直接操作するエージェント的な機能、コーディング専用モデルCodex5.3の能力を取り込んだコーディング性能の強化が特徴だと紹介しました。一方で公式サイトのベンチマークのグラフが簡素すぎることや、文章生成能力の向上がSNSでは話題になっているものの実際の使用感としてはまだ体感しづらいこと、箇条書きを多用してくる、返答の最後に余計な提案を付け足してくるといった使い勝手の変化についても率直な感想を述べています。かねりんは普段ChatGPTを画像生成用途中心で使っていると話し、文章作成やリサーチはClaudeやGeminiに頼る場面が多いという実感を共有しました。
続いてGPT-5.3インスタントは、GPT-5.4シンキングと並行して存在する高速版のモデルで、Geminiの高速モデルに対抗する位置づけです。しぶちょーは応答は速いものの箇条書きが極端に多く読み物としては読みにくいため、要約や翻訳など軽いタスク向きだと評価しました。あわせて、AIに役割を演じさせたり細かく指示を作り込んだりするようなプロンプトエンジニアリングの手法は、モデル自体が賢くなったことで以前ほど効果を発揮しなくなってきているという話題にも触れています。
Gemini3.1フラッシュライトは、通常のUIからではなくAPI経由で使う超軽量かつ低コストなモデルで、メールの要約や翻訳、データ抽出のような大量処理に向いています。しぶちょーはこの流れを、LLMの巨大化に伴う消費電力の増大という課題と結びつけ、大きなモデルを知識蒸留によって小型化するSLM(スモールランゲージモデル)の重要性を説明しました。NVIDIAが提唱する、大きなモデルが指示を出し小さなモデルが個別のタスクをこなす「デジタルファクトリー」という構想も紹介され、あらゆるタスクを一つの巨大モデルにこなさせるのではなく、役割に応じて適切な大きさのモデルを使い分ける方向に向かっていることが語られました。
デジタル庁のニュースでは、行政向けに使う国産LLMとして、NTT、つづみ、ELYZA、ソフトバンク、NEC、富士通などのモデルが選定されたことを紹介しました。プロジェクト名は平賀源内にちなむ「源内」で、海外製のLLMに国の機密情報を入力するリスクを避けるために国産で構築する狙いがあります。5月に政府内での大規模実証を行い、8月から本格利用を開始、2027年には全省庁の職員約18万人を対象にしたガバメントAIとして調達される計画です。二人は、行政のアナログな事務作業の効率化に期待を寄せる一方で、業務が効率化されても人員削減には直結しにくいのではないかという見方も示しました。しぶちょー自身が確定申告の経費整理でClaudeを使い、名前が整理されていないAmazonの領収書PDFの読み取りとリネーム、複数のクレジットカード明細の統合をAIに任せて作業時間を大幅に短縮した体験も紹介されています。
最後にDeNA会長の南場智子氏がAIデイで語った内容を取り上げました。南場氏は、AIの進化によって中途半端な専門性はすぐに代替されると述べており、事業の人員を半分にする計画を掲げたものの、空いた時間を使って新しい仕事を自ら増やしてしまう現象が起き、想定通りには人員が動かなかったと説明しています。しぶちょーはこれを、仕事の量は与えられた時間を満たすまで膨張するというパーキンソンの法則になぞらえ、あえて人手が足りない状況を作り強いリーダーシップで新しい役割に人を動かす必要があるという南場氏の考え方を紹介しました。かねりんとしぶちょーは、この事例をもとに、AI時代に生き残るために必要なのは深いドメイン知識と圧倒的なスピードの両方であり、個人や小規模チームでも高速にプロダクトを作れる時代になっているという学びを共有し、自分たちも新しいものづくりに挑戦していきたいという意欲を語って締めくくっています。
この回でわかること(Q&A)
GPT-5.4は何が新しくなったのですか?
会話のやり取りそのものよりも、表計算やプレゼン資料の作成といった成果物の質を高めることに重点を置いてチューニングされているとされています。加えてコーディング専用モデルCodex5.3の能力を取り込んだコーディング性能の強化と、パソコン画面をマウス操作で扱うエージェント的な機能の強化も特徴として紹介されています。
GPT-5.3インスタントとGPT-5.4シンキングの違いは何ですか?
GPT-5.4シンキングと並行して存在する高速応答用のモデルで、Geminiの高速モデルに対抗する位置づけです。応答は速いものの箇条書きを多用してくる傾向があり、要約や翻訳など軽いタスクには向くが読み物としては読みにくいと評価されています。
Gemini3.1フラッシュライトはどんな用途に向いていますか?
通常のUIではなくAPI経由で使う超軽量かつ低コストなモデルで、メールの要約や翻訳、データ抽出のような大量処理向きのタスクに適しているとされています。難しい判断が必要なタスクではなく、シンプルな処理を大量にこなす場面での利用が想定されています。
デジタル庁の国産LLM「源内」とはどんなプロジェクトですか?
行政の仕事に使うために、海外製LLMに国の機密情報を入力するリスクを避けて国産で構築するプロジェクトで、NTT、つづみ、ELYZA、ソフトバンク、NEC、富士通などのモデルが選定されました。5月に政府内での大規模実証、8月から本格利用を開始し、2027年には全省庁の職員約18万人を対象にしたガバメントAIとして調達される計画です。
DeNAの南場智子氏はAI活用の失敗からどんな教訓を語りましたか?
事業の人員を半分にする計画を掲げたものの、AIで空いた時間をみんなが自ら新しい仕事で埋めてしまい、想定通りに人員が動かなかったと語っています。これを踏まえ、あえて人手が足りない状況を作り、強いリーダーシップで新しい役割に人を動かす必要があるという考え方を示しました。
この回を聴く
「おちつきAIラジオ」は、日々のAIトピックを現役のAIエンジニア(しぶちょー)と元刑事のポッドキャストプロデューサー(かねりん)がやさしく解説する対談番組です。