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ポッドキャスター失業の危機!?音声生成AI ElevenLabsの実力と、AI時代の対談の真価(ep.45)

おちつきAIラジオ 第45回(EP.045)/配信日: 2026.02.20/再生時間: 01:07:09

この回の概要

第45回の深掘り会は「なぜAI音声生成はこれほどまでに進化したのか」がテーマです。この回を聴くと、音声合成の技術がどのように進化して今のクオリティに至ったのか、そして自分の声がわずかなデータからAIに複製できてしまう時代に、声の権利や本人確認がどう脅かされているのかがわかります。

冒頭では、しぶちょーが自分の声で作ったAI音声クローンと自身の肉声のどちらがAIかをかねりんに当ててもらうクイズを実施しました。しぶちょーのポッドキャスト音源約2時間分を学習させて作ったAI音声は、かねりんが聞き分けられないほど自然だったことが明らかになり、生成AIの音声クオリティが実用レベルに達していることを体感する導入になっています。かねりんは、しぶちょーの声を長年ポッドキャストで聞き続けてきたにもかかわらず正解できなかったことに強いショックを受け、AIっぽく寄せた話し方の工夫があったとはいえ、それだけで見分けがつかなくなるレベルの精度が実現していることに驚きを示していました。あわせて無料で試せる10秒学習版の音声も比較し、こちらはまだ質が粗いものの、声質の傾向自体はつかめていると評価されました。

続いてしぶちょーは音声合成の歴史を解説しました。かつての「ゆっくりボイス」や「棒読みちゃん」は、株式会社アクエストのAquesTalkという技術で、あらかじめ録音した音の断片をつなぎ合わせる方式のため機械的な発音になっていたと説明しています。2016年にはディープマインドが開発したWaveNetが登場し、音の波形そのものを予測して生成するディープラーニングの手法が生まれましたが、その人専用のモデルを作るために8時間から12時間分もの音声データが必要で、過学習によって精度が崩れたり、別の話者に転用できないという課題があったと振り返っています。しぶちょー自身も2年ほど前にサービスを使って自分の声のクローンを作ったものの、2、3時間分の音声を読み上げて学習させても声質がやや似ている程度にとどまり、実用にはやや物足りなかったという体験談を紹介しました。

大きな転換点になったのが2023年1月にマイクロソフトが発表したVALL-Eです。音声をテキストと同じようにトークン化し、大規模言語モデルと同じ枠組みで扱えるようにしたことで、あらかじめ大量の話者データを学習した空間の中からその人らしい声色を検索的に引っ張ってこられるようになったと説明されました。この仕組みにより、わずか10秒程度の音声サンプルからでも本人らしい声を生成できる時代になったことが語られています。しぶちょーは、音声の特徴を周波数ごとの濃淡で表すメルスペクトログラムなどのデータをもとに声色や抑揚がベクトル化された空間に保存されており、その空間から近い位置にある声を探してくることで、学習していない声でも似た特徴を持つ声を組み合わせて生成できる仕組みになっていると解説しています。

実際に使えるサービスとして、しぶちょーは音声合成スタートアップElevenLabsを紹介しました。テキスト読み上げやボイスクローン、ボイスチェンジャー機能を持ち、月5ドルのスターターから月22ドルのクリエイタープランまで料金体系があり、上位プランでは月10万文字程度の読み上げが可能だと説明しています。あわせて、声には著作物のような明確な法的保護がなく、声優などの職業にとって無断学習のリスクが深刻な課題になっていることや、香港で実際に起きたAI音声とリップシンク動画を使った偽のビデオ会議による多額の詐欺事件を紹介し、声が本人確認の手段として通用しなくなる懸念を共有しました。

最後に二人は、AIによる音声生成が一人喋りのポッドキャストの価値を脅かしかねない一方、リアルタイムの掛け合いやその場の関係性はまだAIには再現できないという点で、対談形式のポッドキャストには強みがあると結論づけました。今年のジャパンポッドキャストアワードのノミネート作品がすべて複数人の対談番組だったことにも触れ、しぶちょーは過去の収録音声を使って「AIかねりん」を作る試みを続けており、選ぶ元音源によって人格の傾向が偏ってしまう難しさがあったことも明かしています。しぶちょーは、直近の収録回ばかりを学習素材に使った結果、何でも否定的にツッコむ口調ばかりが強調された「ダークかねりん」ができてしまったというエピソードを紹介し、AIかねりんを本人らしく仕上げるには元にする音源の選定が重要になると振り返っていました。

目次(タイムスタンプ)

  • 00:00 オープニング:日々のAIニュースにおちつきを
  • 00:36 今日のテーマ「なぜAI音声生成はこれほど進化したのか?」
  • 05:41 【クイズ】どっちがAI?本物のしぶちょーの声を当てろ!
  • 15:44 音声合成の歴史:ゆっくりボイスからWaveNetへの進化
  • 25:05 音声生成のパラダイムシフト:波形予測から言語モデルへ
  • 35:36 最新ツール「ElevenLabs」の紹介と驚きの機能
  • 37:24 声の権利とディープフェイク:AIボイスを使った詐欺の脅威
  • 49:30 AIが完璧に喋る時代、ポッドキャストと対談の真の価値
  • 55:09 幻のボツ回をリベンジ?AIかねりん生成計画の幕開け
  • 63:38 エンディング:おちついて過ごしていきましょう

今回の要チェックキーワード

メルスペクトログラム(Mel-spectrogram)
音声を「時間×周波数の強さ」の画像的表現に変換し、周波数軸を人間の聴覚に近いメル尺度にした特徴量である。多くのTTSで中間表現として使われ、テキスト→メル→波形という二段構えの構成を作りやすい。
Neural Audio Codec(ニューラル音声コーデック)
音声を連続値の波形ではなく、離散的なトークン列へ圧縮(エンコード)し、そこから復元(デコード)する仕組みである。音声をトークン化できると、生成モデルを「言語モデル的」に設計しやすくなる。
Codec Language Model(音声トークンの言語モデル)
ニューラル音声コーデックが作った「音声トークン列」を生成するモデルである。テキスト生成のLLMが単語トークン列を出すのと同様に、音声トークン列を出して音声を作る枠組みであり、ゼロショット音声合成や音声変換の基盤になり得る。
WaveNet
音声波形をサンプル単位で逐次生成するニューラル生成モデルの代表例である。高品質化に寄与した一方、逐次生成は計算コストが高く、後続研究では高速化(並列生成・軽量ボコーダ)へ発展していった。
ElevenLabs
AI音声合成および音声生成技術を提供する企業である。自然なイントネーションや感情表現を重視したニューラルTTS(Text-to-Speech)を主力とし、少量の音声サンプルから特定話者の声を再現する「音声クローニング」機能で注目を集めた。
WALL-E
音声を“トークン列”として扱い、言語モデルのように次トークン予測で音声を生成する「Neural Codec Language Model(神経コーデック言語モデル)」である。 —----------------------------

この回でわかること(Q&A)

AI音声クローンはどれくらいのデータがあれば作れるようになったのですか?

以前はその人専用のモデルを作るために8時間から12時間分の音声データが必要でしたが、2023年にマイクロソフトが発表したVALL-Eの登場以降は、わずか10秒程度の音声サンプルからでも本人らしい声を生成できるようになったと説明されています。番組では約2時間分の音声を学習させた例も紹介されました。

ゆっくりボイスと今のAI音声生成は何が違うのですか?

ゆっくりボイスはAquesTalkという技術で、あらかじめ録音した音の断片をつなぎ合わせる方式のため機械的な発音になります。一方で今のAI音声生成は音声をトークン化し言語モデルと同じ枠組みで扱うことで、音の波形自体を予測して自然な発音を生成できる点が大きく異なります。

声の権利は法律で守られていないのですか?

動画やテキストのような著作物とは異なり、声そのものを直接保護する法律は実質的にないと説明されています。そのため声優などの職業では無断でAIに声を学習されるリスクが深刻な課題になっており、無断使用の禁止を自ら声明として出す動きも紹介されました。

AI音声クローンを使った詐欺事件は実際に起きているのですか?

香港で、AIで生成した会社の社長の声とリップシンク動画を使い、偽のビデオ会議を装って大量の送金をさせた詐欺事件が実際に起きたと紹介されています。声だけでなく口の動きまで一致させられるため、本人確認として声や映像を信用できなくなる懸念が語られました。

対談形式のポッドキャストはAI音声生成に代替されにくいのですか?

一人喋りのポッドキャストは原稿をAI音声に読ませるだけで代替されうる一方、リアルタイムの掛け合いやその場の関係性はまだAIには再現しにくいとされています。ジャパンポッドキャストアワードのノミネート作品がすべて複数人の対談形式だったことも、その強みを裏付ける例として紹介されました。

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「おちつきAIラジオ」は、日々のAIトピックを現役のAIエンジニア(しぶちょー)と元刑事のポッドキャストプロデューサー(かねりん)がやさしく解説する対談番組です。