流行りのAIツールはすぐ廃れる。バイブコーディングを実用スキルに昇華させるための「苦しみ」の価値(ep.18)
おちつきAIラジオ 第18回(EP.018)/配信日: 2025.11.21/再生時間: 01:01:28
この回の概要
今回はバイブコーディングというトレンドワードの実態を、しぶちょーとかねりんが検証する回です。バイブコーディングとは自然言語による指示だけでAIにプログラムを書かせる開発スタイルのことで、2025年2月にOpenAI共同創業者のアンドレイ・カーパシーが提唱し、同年11月にはイギリスのコリンズ英和辞典で今年の言葉にノミネートされるほど話題になりました。この回を聴くと、バイブコーディングが生まれた経緯、専門知識なしで使うことの本当のリスク、そして実際に何を使ってどう学べばいいのかが分かります。
エピソード冒頭では、しぶちょーが実際に体験した、世界初のゲーム特化型バイブコーディングAI「ガンボ」の話が紹介されます。自然言語での指示と画像を渡すだけで、しぶちょーの発信で使われるマスコットキャラクター「メカトロザウルス」を主人公にした横スクロールゲーム「メカトロザウルスアドベンチャー」を1時間ほどで完成させたというエピソードです。プログラミング経験がなくてもゲームが作れてしまう手軽さが紹介される一方、SNSに投稿しても全く話題にならなかったという裏話も語られます。
続いて、バイブコーディングを研究対象とした学術論文の内容が紹介されます。バイブコーディングはプログラミングの専門知識を不要にするのではなく、専門性の役割を文脈管理やAIの出力を評価する能力へと再定義するものだという指摘です。開発速度は上がる一方で、生成されたコードには欠陥が多く、動いてはいるが理由がわからないコードや、新しい脆弱性が生まれるリスクがあることが語られます。
しぶちょーは、システム開発の作業時間のうち実際に動くものを作る作業は全体の2割程度で、残り8割は例外処理やバグ・脆弱性対応に費やされると説明します。バイブコーディングはこの2割の部分を得意とする一方、8割にあたる品質を担保する部分は専門知識がないと判断できないため、非エンジニアが動いたから完成だと勘違いしてしまう危険性が指摘されます。この心理状態を、しぶちょーはダニング・クルーガー効果になぞらえ、学び始めた直後の自信過剰な状態のまま止まってしまうことの怖さを、免許取り立てで自信満々に運転する若葉ドライバーに例えて説明しています。
提唱者であるアンドレイ・カーパシー自身が、新しいプロジェクトではバイブコーディングがうまく機能せず手動でコーディングしたと明かしたというニュースも紹介されます。これを受けて番組では、もともと優秀なエンジニアは生成AIを活用して生産性を高められる一方、開発経験の少ない非開発者にとっては見せかけの価値にとどまりやすいという二極化が起きていると整理されます。
実際のツール選びについても具体的に語られます。ブラウザだけで完結する手軽なノーコード系のバイブコーディングツールは流行り廃りが激しく、半年から1年で話題にならなくなる傾向があるとして、しぶちょーは「からの」と聞いてその先の応用ができるかどうかを見極める方法を提案します。より本格的に学びたい場合は、AI支援機能付きのコードエディター「カーソル」や、無料の高機能テキストエディター「VS Code」にGitHub CopilotやCline、Claude Codeなどの拡張機能を組み合わせる方法が紹介されます。
かねりんについては、すでにClaudeの有料プランを契約していることから、VS CodeとClaude Codeをローカル環境で組み合わせる構成がしぶちょーからおすすめされます。API課金ではなくサブスクリプションの範囲内で使えること、VS Codeのライブサーバー機能でホームページの変更をリアルタイムに確認できることなどが理由として挙げられ、次回以降で実際に環境構築を行う実践編を予定していることが語られます。
しぶちょー自身がイベント用のホームページをバイブコーディングで作ろうとした際、ハンバーガーメニューやヒーローエリア、ナビゲーションメニューといったウェブサイト構成の専門用語を知らなかったために思うように指示が出せなかったという体験も語られます。番組の結論として、バイブコーディングは学ぶ意思がある人にとっては効率的な学習手段になる一方、楽をして専門知識を身につけようとする姿勢では長続きしないとまとめられ、あえて苦しみながら学ぶ過程を経ることの価値が強調されます。
目次(タイムスタンプ)
- 00:00 オープニング:AIニュースに疲れたあなたへ
- 00:24 今回のテーマ「バイブコーディング」って何?
- 03:38 2025年誕生!名付け親と流行語ノミネート
- 08:02 知識ゼロでもゲーム完成?AI開発の実体験
- 12:09 学術界からの警鐘「専門知識の再定義」
- 16:15 衝撃の事実?提唱者が手動コードに戻った理由
- 23:27 全能感の罠「ダニング・クルーガー効果」
- 36:32 流行りのツールはすぐ廃れる?学習の本質
- 46:30 お勧め環境:VS CodeとClaude Code
- 53:20 初の公開収録イベント告知とグッズ制作秘話
今回の要チェックキーワード
- バイブコーディング(Vibe Coding)
- AIにコードを書かせながら“雰囲気で”開発を進めるスタイル。深い理解がなくてもプロトタイプが作れる一方で、動作の意味を誤解しやすいという特徴もある。
- ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger Effect)
- 知識が浅い段階ほど、自分の能力を過大評価してしまう心理現象。学び始めのときに「自分はもうできる」と錯覚しやすい理由として知られる。
- 脆弱性(Vulnerability)
- システムやアプリの“弱点”となる部分。悪意ある攻撃に悪用される可能性があり、セキュリティ対策では最優先で管理・修正すべきポイント。 —----------------------------
この回でわかること(Q&A)
バイブコーディングとは何ですか?
自然言語による指示だけでAIにプログラムを書かせる開発スタイルのことです。2025年2月にOpenAI共同創業者のアンドレイ・カーパシーが提唱した言葉で、同年11月にはイギリスのコリンズ英和辞典の今年の言葉にもノミネートされました。
バイブコーディングはプログラミング未経験者でも安全に使えますか?
番組では危険性が指摘されています。動くところまでは作れても、脆弱性やエラー処理など品質に関わる8割の部分は専門知識がないと判断できず、非エンジニアが動いたから完成だと勘違いしてしまうリスクがあると説明されています。
バイブコーディングの提唱者アンドレイ・カーパシー自身は今も使っていますか?
新しいプロジェクトではバイブコーディングがうまく機能せず、手動でコーディングしたと本人が明かしています。
バイブコーディングを始めるにはどんなツールがおすすめですか?
ブラウザだけで完結する手軽なノーコード系ツールは流行り廃りが激しく学びに繋がりにくいとされています。本格的に学びたい場合は、AI支援機能付きエディターの「カーソル」や、VS CodeにGitHub Copilot・Cline・Claude Codeなどを組み合わせる方法が紹介されています。
バイブコーディングで作ったコードが動くことと完成することは同じ意味ですか?
番組内では明確に否定されています。実際のシステム開発では動作確認できる部分は全体の2割程度で、残り8割は例外処理やバグ・脆弱性対応に費やされるため、動いただけでは完成とは言えないと説明されています。
関連リンク
- Andrej Karpathy(アンドレイ・カーパシー)のポスト
- 英国のコリンズ英語辞典 「今年の言葉(Word of the Year)」
- メカトロザウルスアドベンチャー(バイブコーディングで作ったゲ-ム)
- バイブコーディング:人工知能との会話によるプログラミング
- バイブコーディングの実践:動機、課題、そして将来の展望
- Vibe Codingの発明者、新プロジェクトを手書きでコーディングしたことを認める
この回を聴く
「おちつきAIラジオ」は、日々のAIトピックを現役のAIエンジニア(しぶちょー)と元刑事のポッドキャストプロデューサー(かねりん)がやさしく解説する対談番組です。