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[9月30日]3Dモデルの民主化”Hitem3D” すごさの核心はAI自体じゃないんです(ep.3)

おちつきAIラジオ 第3回(EP.003)/配信日: 2025.09.30/再生時間: 01:07:12

この回の概要

この回は画像から3Dモデルを生成するツール「Hitem3D」を入り口に、その裏側にある技術「Sparc3D」の仕組みを解説する回です。聴くと、Hitem3Dが驚異的なクオリティで3Dモデルを生成できる理由が、実はAIモデル自体の進化ではなく、3Dデータを扱うためのパイプライン、つまりデータの持たせ方や伝え方の工夫にあることがわかります。

話は今年7月ごろに話題になった、画像から3Dモデルを生成するサービス「Hitem3D」の紹介から始まります。かねりんが実際に無料枠でHitem3Dを試した体験を交えながら、しぶちょーがこのツールがなぜ界隈で驚かれているのかを説明します。画像から3Dモデルを作る技術自体は数年前から存在していたものの、Hitem3Dはそのクオリティが従来と比べて桁違いに高いことが特徴です。画像を1枚入れるだけでも立体データが生成され、そのまま3Dプリンターに投入できる点も紹介されます。さらに、Googleの画像生成モデル「Nano Banana」で人物やフィギュアの正面・側面など複数視点の画像を破綻なく作れるようになったことで、それらをHitem3Dの複数視点モードに入力し、より精巧で破綻の少ない3Dモデルが作れるようになったという、二つの技術の組み合わせが話題を後押しした経緯が語られます。

しぶちょーは、Hitem3Dの凄さの本質はAIモデルそのものの進化ではなく、3Dデータをどうやって学習・生成のパイプラインに渡すかという「データの扱い方」にあると指摘します。画像はピクセル単位でRGBの3つの値を順番に渡せば済みますが、3Dデータは立体であるためそのままでは扱いにくいという課題があり、この課題がどう解決されてきたかを歴史をたどりながら説明していきます。

3Dデータの扱い方の歴史として、2015年に登場した、立体を格子状のボクセルとして扱う手法(VoxNet)が紹介されます。ボクセルは分かりやすい反面、解像度を上げるとデータ量が爆発的に増えるという限界があり、2019年には形状を数式で表現する「インプリシット表現」という方式が登場します。しかしこの方式は学習時と生成時に変換が二度入るため、伝言ゲームのように細部の情報が失われやすいという新たな課題があったと解説されます。

そこで登場したのが、今年5月に論文が公開された「Sparc3D」です。立体の表面付近だけにボクセルを密に配置する「SparCubes」という表現方法により、ボクセルの精密さとインプリシット表現の軽さを両立させたハイブリッドな手法だと説明されます。さらに、このSparCubesの情報をAIの学習領域にそのまま渡すための専用の変換機構「SparConv-VAE」を新たに設計したことが、Sparc3Dの核心だとしぶちょーは強調します。生成AIのモデル自体は既存のものを使っており、革新はあくまでデータを渡すパイプライン側にあるという点が、この回でいちばん伝えたいポイントとして語られます。

後半では、かねりん自身が人の顔写真をHitem3Dに入れた際に顔が崩れてしまった体験や、キャラクターものの方が破綻しにくいという実践的な知見も共有されます。しぶちょーは去年、以前使っていた「Tripo AI」というサービスで自身のブログキャラクターを3Dモデル化し、印刷してポッドキャストイベントの物販で配ったという活用例も紹介します。一方で、現時点では3Dモデル生成の主な使い道はフィギュア制作程度にとどまり、クオリティが上がってもすぐに新しい用途が広がるわけではないという冷静な見方も示しつつ、3Dモデルの民主化やものづくりの民主化が今後進んでいく可能性には期待を寄せます。

話題は自然と3Dプリンターの魅力にも広がり、しぶちょーが自宅に7台の3Dプリンターを持っていることや、3万円程度で購入できる時代になったことなどが語られます。かねりんは購入を検討しつつも踏みとどまった経緯を明かしつつ、印刷したいものがあるから買うのではなく、機材があるから作りたくなるという考え方に納得を示します。

この回全体を通じて、生成AIの進化をモデルの賢さだけで捉えるのではなく、データをどう渡すかというパイプラインの工夫にも目を向けることの大切さが繰り返し語られます。ブラックボックスに見えるAIも仕組みを分解して理解すると、過度な期待や失望をせずに落ち着いて向き合えるようになるというのが、この回の締めくくりのメッセージです。

目次(タイムスタンプ)

  • 00:00 オープニング|なぜ画像から3Dモデルが生成できるのか?
  • 00:56 最近話題のAIツール「Hitem3D」とは?
  • 02:35 驚くべきクオリティ向上!過去の3D生成AIとの違い
  • 04:12 複数視点の画像で精度アップ!「nano banana」との最強コンボ
  • 07:35 その驚き方、間違ってる?Hitem3Dの本当のすごさ
  • 09:37 すごいのはAIじゃない!コア技術「Sparc3D」の正体
  • 11:50 AIは3Dをどう理解する?マインクラフトみたいな「ボクセル」表現
  • 19:34 データ量問題を解決した「インプリシット表現」という発明
  • 24:23 「伝言ゲーム」の限界。なぜ変換すると情報が劣化するのか?
  • 26:08 原点回帰と革新!「Sparc3D」のハイブリッドな発想
  • 29:19 必要なのは表面だけ?データ量を削減するスパースな考え方
  • 35:08 情報劣化を防ぐ専用パイプ!3DデータをAIに伝える仕組み
  • 38:39 結論:革新はAIの脳みそではなく「パイプライン」にあった
  • 44:14 なぜ顔がゾンビに?かねりんがHitem3Dを実践レビュー
  • 50:54 3Dモデル生成技術の未来と「ものづくりの民主化」とは?
  • 52:37 しぶちょーによる3Dプリンターの熱烈セールストーク
  • 59:47 AIの進化を正しく理解すれば、もっと面白くなる!

この回でわかること(Q&A)

Hitem3Dとは何のツールですか?

画像を入力すると立体的な3Dモデルデータを生成してくれるAIサービスで、生成したデータをそのまま3Dプリンターで印刷できます。今年7月ごろに界隈で大きな話題になりました。

Hitem3Dのクオリティの高さはAIモデル自体が進化したからですか?

番組内ではそうではないと説明されています。核心はAIモデルそのものの進化ではなく、3DデータをAIの学習・生成の仕組みに渡すためのパイプライン、つまり「Sparc3D」という技術の工夫にあります。

3Dデータをボクセルで扱うことの限界は何ですか?

ボクセルは立体を格子状のブロックの有無で表す直感的な方法ですが、解像度を上げようとするとデータ量が爆発的に増えてしまい、現実的な精度で扱うことが難しくなるという限界があります。

Sparc3D(SparCubes・SparConv-VAE)はどんな仕組みですか?

立体の表面付近だけに密にボクセルを配置する「SparCubes」という表現と、その情報をAIにそのまま伝えるための専用の変換機構「SparConv-VAE」を組み合わせた仕組みです。ボクセルの精密さと、数式で形状を表す方式のデータ量の軽さを両立させています。

Hitem3Dなどで生成した3Dモデルは今どんな用途に使われていますか?

現時点では主にフィギュア制作など3Dプリンターでの出力用途が中心で、実用面ではまだ発展途上だと語られています。今後は3Dモデルやものづくりの民主化が進んでいく可能性があるとされています。

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「おちつきAIラジオ」は、日々のAIトピックを現役のAIエンジニア(しぶちょー)と元刑事のポッドキャストプロデューサー(かねりん)がやさしく解説する対談番組です。